- あらゆるAccessデータベースで使いまわせるフォームレイアウトを学習
- 業務内容に合わせたレイアウトの選び方が分かる
- 将来の項目追加や仕様変更に強い、保守性の高いフォームを設計できる
- 入力ミスを防ぎUI/UXを高めるフォームデザインをマスター
過去記事では、Accessフォームのいろいろなレイアウトを紹介してきました。
ありがたいことに、こちらの記事にも多くの人が閲覧してくれているようです。
しかし、これまでは単にレイアウトを紹介するだけで、「どのレイアウトを優先して使ったらよいか」という実践的な指針までは提供できていませんでした。
実際、レイアウトの定番化を行わないままAccessフォームを作り続けると、作成時間が必要以上に長くなってしまいます。
また、画面ごとに配置がばらつくことで入力ミスや混乱が増え、ユーザーがフォームごとに操作方法を覚え直す手間も発生してしまいます。
そこで今回は、実用性と効率性を重視したAccessフォームの定番レイアウトを3つピックアップして紹介します。
もくじ
この記事を書いているぼくも、Accessを使い始めた10年前は「Accessでシステムを作る時はどんな画面にしたらいいだろうか」という悩みを常に抱えていました。
しかし、たくさん失敗しながら試行錯誤を繰り返した結果、実務で使いやすいフォームを作るコツが分かってきました。
実務で使えるフォームを作るための高度なテクニックは必要ありません。
定番のレイアウトをベースにして、少しアレンジするだけで十分です。
つまり、自分だけのテンプレートを作ってしまうということです。
Accessフォームのテンプレート化を始めてから、開発作業が本当に楽になりました。
今回は、実務で使っている主な3つのレイアウトを紹介しますので、職場でのAccessシステム開発に役立てていただけたら幸いです。
また、Accessには3つのレイアウト以外にも、帳票形式や分割形式などのような他のレイアウトもありますが、それらについても独自の考えを述べていきたいと思います。
本記事では、一般的なAccess解説書にあまり載っていない、より実務的で運用を意識した内容に仕上げました。
実戦的なAccessスキルを身に付けたい人は、ぜひ最後まで目をとおしてください。
Accessフォームでレイアウトが重要な理由
Accessフォームのレイアウトは、見た目だけでなく業務効率と品質にも関わる重要な要素です。
フォームのテンプレート化を行うことで、大きく2つの効果が得られます。
まず一つ目は、ユーザー操作性の向上です。
Accessは直感的にコントロールを配置できる便利な機能を持っていますが、作成するたびに配置がズレてしまうリスクもあります。
同じシステムなのに検索機能や戻るボタンがフォームごとに違う場所にあると、ユーザーは使いにくさを感じてしまいます。
統一されたレイアウトにすることで、ユーザーは迷うことなく操作でき、新しいフォームにも素早く慣れることができます。
例えば「検索機能はデータシートの上」「集計・出力機能はデータシートの下」「戻るボタンは右上」といったルールが決まっていれば、探す手間も省けて作業効率が上がります。
反対に統一ルールがないと、開発者ごとに違うスタイルでフォームが作られてしまいます。
その結果、ユーザーは画面が変わるたびに操作方法を覚え直す必要があり、教育コストも増加してしまいます。
二つ目は、保守性の向上です。
フォームをゼロから毎回作成していると、同じような作業を何度も繰り返すことになり、時間がかかってしまいます。
しかし、テンプレート化されたフォームをコピーして使えば、開発時間を大幅に短縮できます。
フォームの目的によってはレイアウトの変更が必要になることもありますが、その場合でも基本構造が決まっているため微調整だけで済みます。
このように、レイアウトのテンプレート化は使いやすさと開発効率を同時に向上させる有効な方法なのです。
おすすめのAccessフォームレイアウト3選
ここからは、実用性と使いやすさを重視した3つのAccessフォームレイアウトをご紹介します。
その1-[メニュー型]複数のボタンの管理画面
業務システムでは、ログイン直後に表示される管理画面が重要な役割を担います。
システムは通常、複数の画面を使い分けて入力、集計、出力などの作業を行うためです。
データ入力が必要な場合は入力画面に、結果の表示が必要な場合は出力画面に移動するといったように、ユーザーは目的に応じて適切な画面を選択する必要があります。
管理画面の最も重要な役目は、ユーザーがストレスなく目的の画面に遷移できることです。
そのため、各画面に移動できるボタンを配置したメニュー型のフォームが最適な選択となります。
このメニュー型フォームを作成する際のポイントは、ボタンを多めに配置しておくことです。
現時点で使わないボタンがあっても問題ありません。
むしろ、文字のない空白ボタンとして残しておくことをおすすめします。
なぜなら、Accessを運用していく過程で新しい機能を追加したくなることが必ずあるからです。
その際、未使用のボタンに新機能を割り当てるだけで対応でき、画面サイズの調整などの面倒なレイアウト変更は不要です。
もし設置したボタンだけでは機能を収めきれなくなった場合は、タブを追加することでボタン数をさらに増やすことができます。
その2-[一覧+検索型]空白フォーム+データシート
業務システムにはデータを幅広く閲覧できる画面も必要です。
Accessの場合は、空白のフォームの中にデータシートフォームを設置することで目的の画面を作れます。
画面の上端には検索機能を充実させると便利です。
フィルタ用のテキストボックスやコンボボックスを配置することが定番の方法です。
一方、画面の下端には他の画面への遷移やレポート出力するためのボタンを設けましょう。
大まかに画面の配置を決めて定型化しておけば開発もスムーズに進みますし、ユーザー側の人にとっても新しい画面の操作もストレスなく運用できます。
また、データシートフォームは標準機能が充実しているので、フォームの作り込みも最小限で済みます。
その3-[単票+サブ明細型]単一レコード編集+連結サブフォーム
データの追加や変更を行うためには、単一レコード分のデータが編集しやすいフォームが必要です。
Accessの単票フォームは単一レコードのデータを編集するのに最適なフォームです。
運用効率を上げるためにも、必要に応じて明細データを連結式のサブフォームとして設置しましょう。
また、ウィザードを活用したフォームの自動生成もおすすめです。
ゼロからコントロールを配置するより、ウィザードで生成されたフォームを微修正する方が手間も時間もかかりません。
出来るだけ手間をかけずに単票フォームを作りたい方は、当ブログ記事「ムダなく作れる!Accessフォーム入門」をご覧ください。
他のAccessフォームのレイアウトについて
ここからは、ぼく個人の独断と偏見ですが、これまで紹介していないフォームについての見解を述べていきます。
帳票形式のフォームはフォームウィザードから容易に作成できますが、実務で使う場面はどちらかというと少なめです。
限られた画面スペースの中で多くのデータを表示させるのは、データシートフォームの方が向いています。
一方、データシートでは画像やボタンをレコード毎に設置できません。
そんな時は、帳票フォームを使ってフォームを作り込みましょう。
Accessの分割フォームも便利そうに見えますが、画面の解像度が大きくない場合は逆に使いづらくなります。
分割フォームを使うときは、慎重に検討しましょう。
また、WEBシステムなどでダッシュボード形式の管理画面になっていることも多いです。
ダッシュボート形式の管理画面は、やはりカッコよい印象を受けます。
逆に、ボタンを並べただけのフォームがシステムのメイン画面になっていると、システム自体が少し古くさく見えてしまいます。
しかし、ボタンを並べただけの管理画面も、これまで数十年間期間使われてきた『理にかなったフォーム』です。
初心者の方でも簡単に作れるので、まずはボタンを配置した管理画面を作れるようになれれば十分です。
将来Accessのスキルが向上し、カッコいいフォームを作りたくなったところで改めて挑戦してもよいでしょう。
いずれにせよ、ユーザーの使いやすさを優先して画面のレイアウトを決めていくのが最善の方法です。
定番のフォームを使い回す方法
では、作り上げた定番のフォームを使いまわす方法を解説します。
かんたんにできる方法なので、ぜひマスターしておきましょう。
外部データの取込み、または、ドラッグ&ドロップという2つの方法があります。
外部データの取込は以下の手順です。
外部データタブからデータベースから → Accessデータベース の順に選択。
取込画面を進めていくと、取り込みたいオブジェクトを選択できるダイアログが表示されます。
Ctrlキーを使って複数のオブジェクトを選べるので、一度の作業で済みます。
ドラッグ&ドロップは両方のデータベースを開き、取り込みたいオブジェクトをマウスで移動させるだけです。
また、同一データベース上で同じようなフォームを増やしたい場合は、シンプルにコピペ操作だけでも実行できます。
まとめ
今回は、おすすめのAccessフォームレイアウトを紹介しました。
フォームの完成度でAccessデータベースの使い心地は大きく変わってきます。
Accessの場合は、業務システム的と同じような用途で使われるので、業務システムのパッケージ商品で作られたフォームを参考してもよいでしょう。
もし、パッケージ商品の画面を調べるような手間をかけたくない方は、いったん本記事で紹介したレイアウトを参考に定型フォームを作りましょう。
さらに機能を追加したくなったら、データベースを運用中にレイアウトをこまめに修正すれば十分です。
そうしていけば、きっと使いやすいオンリーワンのAccessデータベースに育て上げることができるでしょう。
さらに、これまでに培ったノウハウが次のAccessデータベースを構築するときに大きく役立つはずです。
いったん自分の最適な定型フォームを作り上げられたら、外部取込を使って新しいデータベースでも活用させましょう。
当ブログでは、Accessアプリの使い方について解説した他の記事もあります。
下にまとめ記事のリンクを入れておきますので、よかったらごらんください。