Excelのフィルタ(オートフィルタ)は、表からデータを抽出する時に使われる、よく知られた機能ですよね。フィルターでデータの抽出はできますが、不便さを感じたことはありませんか?
「データを抽出する時にフィルターをよく使うが、操作が面倒くさい」
「フィルターより便利な機能があれば是非知りたい」
そんな方にとって、とても役立つ機能である「スライサー」を今回紹介します。
この記事を書いている私も、恥ずかしながら約1年前にスライサーの存在を初めて知りました。
スライサーを使い始めて、その便利さの虜になってしまいました。
最近でも、データを集計したり分析するために表やグラフを作るのですが、スライサーは欠かせないものになっています。
是非、今回はスライサーの便利さを知って頂けたらと思います。
スライサーを使うべき2つの理由
フィルターでもデータの抽出は出来るのですが、以下の2つの点からもスライサーを積極的に使う事をオススメします。
- より直感的に素早く操作できる
- 絞込を連動させることが出来る
より直感的に素早く操作できる
スライサーはフィルターと比べると、より視覚的に分かり易いデザインになっています。
スライサーを一度設置すれば、リストが常に表示されます。

フィルターの場合は、リストを表示させるためには、項目の▼を都度クリックしてリストを表示させる必要があります。

リスト内のボタンをクリックするだけで抽出作業が完了しますので、直感的かつ素早く操作できます。

絞込を連動させることができる
スライサーを複数設けることによって、大分類から中分類や小分類の項目を連動させることができます。
小分類の項目数が多い場合も、大項目を先に選ぶことで小分類の項目数を減らし、対象のデータを選びやすいようになっています。
ここでは、大分類に区分、小分類に品名を設定しています。果物を分類すると、ぶどう・みかん・りんごのみが選択できるようになりました。野菜であるたまねぎ・にんじん・ピーマンはボタンの色が変わり、クリックできません。

大分類を選択することで、対象外の小分類は色が変わり選択できなくなります。
ボタンの配置も変わります。

スライサーを設置して使う
Excelで表を作っただけでは、スライサーを設置することができません。以下の3つのみスライサーを設置できます。
- テーブル
- ピボットテーブル
- ピボットグラフ
すぐにスライサーを使いたい場合は、必ず表をテーブルにしておきましょう。
作ったテーブルを選択すると、「テーブルデザインタブ」が表示されます。その中の「スライサーの挿入」をクリックします。

スライサーを設定したい項目を選びます。

スライサーが表示されました。

スライサーは図形と同じように移動させたり、大きさを変えることが出来ます。

重なっているので縦に並べました。

実際に操作してみます。
抽出したい項目をクリックすることでデータが抽出されました。

解除ボタンをクリックするとデータ抽出を解除できます。

Ctrlキーを使ってリストを複数選択することが出来ます。

Excel2016以降のスライサーには、複数選択のボタンが設置されました。
スライサーの操作に慣れていない場合は便利に感じられますが、手早く操作したい場合はCtrlキーを使うことをオススメします。

スライサーとフィルターを使い分けるポイント

とても便利なExcelのスライサーですが、フィルターに使い勝手で負けることもあります。スライサーとフィルターを使い分けるポイントは以下のとおりです。
- 文字数の長さ
- 数値データであるか
- データの定型化
文字数が長い場合は、あいまい検索が必要になります。スライサーはあいまい検索を行うことができません。あいまい検索ができるフィルターを使った方が効率は高いです。
数値データも、「~以上」や「~未満」などの検索条件がよく用いられます。そのような場合もフィルターの方が向いています。
また、データが定型化されていないと、リストの数が無限に増えていきます。
判断基準としては、入力規則やVLOOKUPなどの検索関数でデータ入力の簡略化ができるかです。
逆に、文字数が少なく、定型化されたデータであれば迷わずスライサーを設置しましょう。
スライサーを更に便利にする3つの設定
以下の3つの設定を行うことで、スライサーがより便利になります。
- デザインを変える
- 列数を変更する
- 複数の表やグラフと連動
デザインを変える
スライサーは、デザインタブのスライサースタイルで色調を変えることが出来ます。

より細かいカスタマイズを行うこともできます。

スライサーを多く設置した場合でも、色調を分けておくことで探す手間をなくすことが出来ます。
列数を変更する
初期設定では1列になっているため、スライサーにスペースを取られます。
スライサーにスペースを取られると、肝心の表やグラフを十分に表示できず、使いにくいものになってしまいます。
スライサータブで、列数を変更することができます。

1列から2列に変更すると、表示する行数は半分で済みます。つまり、スライサーの高さも半分にすることができます。

解像度の小さいモニターの場合は、スライサーにとられるスペースが作業効率の低下に大きく関わってきます。
脇役であるスライサーにスペースを取られ過ぎて、主役の表が少しだけしか表示できなければ意味がありません。
スライサーを設置する場合は、表示のバランスや操作性も考慮するようにしましょう。
複数の表やグラフと連動
スライサーを複数の表やグラフと連動させることで、省スペース化と操作性を向上させることができます。
限られた画面に多くの情報を載せることが出来ますし、複数の表やグラフをワンクリックで一気に切り替えることが出来ます。
ここで金額と個数を集計した2種類のピボットテーブルを作成してみます。

金額集計のピボットテーブルから、店舗のスライサーを作ります。

スライサーを操作しても個数を集計させたピボットテーブルは連動しません。

スライサーを右クリックし、「レポートの接続」を選択します。

個数集計にチェックがないのが分かります。

個数集計にチェックを入れます。

2つのピボットテーブルを連動させることができました。

まとめ

このように、Excelのスライサーはワンクリックでデータを抽出できる優れた機能になっています。
あいまい検索をできないという弱点はありますが、操作性は通常のフィルター機能より数段優れています。
フィルターを使う機会の多い方は、是非スライサーに挑戦してみるべきです。
間違いなく便利さを実感し、手放せなくなるはずです。
本日も最後までありがとうござました。